#小田原−熱海 平成16年(2004)2月28日(土)天気:晴れ
管理人、閃く(プロローグ)
「ここんとこ歩きに行けないなぁ〜」なとど思っていた平成16年2月末、年度末のため仕事に追われていた私は、仕事で関わりのある、ある冊子を見ていてひらめいた。「そうだ。これだ!」
そして、2月末の土曜日。まだ日も昇らぬ6時過ぎ、電車に揺られている管理人がいる。車内は、青春18切符が使用できる日ではないのに、結構混んでおり立っている人がいるくらいだ。
豆相人車鉄道とは
今日は、これまでとちょっと変わった趣向で歩きに来ていた。それは、「廃線跡」というものを歩こうと言うもの。実は、平成15年(2003)11月に小田原市役所で手に入れた冊子「ガイドマック 豆相人車鉄道歴史街道物語」がきっかけだった。
豆相人車鉄道(以下人車鉄道)とは、明治期に走っていた鉄道で、人が車両を押しながら走る鉄道で、この時期全国で見られた鉄道である。この人車鉄道は、小田原から熱海まで約25.6km、駕籠で約6時間のところを約4時間で走ったそうである。現在は、国道135号を主としており、伊豆方面へ抜ける主要道の一つとなっている。なお、人車鉄道は明治41年(1908)に軽便鉄道(小さな機関車みたいなもの)となり所要時間も約3時間と短縮されるも、大正13年に幕を閉じている。 |
【新しく生まれ変わった小田原駅】 |
1時間10分ほどで小田原駅着。かつての人車鉄道の始発点は小田原城より南の国道1号線沿いなので、まずは足慣らしも兼ねてそこまでのんびり歩く。ここ1週間で2回ほど出張で来ているのですでに見慣れており、道も覚えてしまった。
【小田原城内の梅と菜の花】 |
ほどなくして国道1号に合流。少しだけかつての東海道を歩く。そう、この辺りの東海道は、国道1号沿いなのだ。
小田原駅(人車・軽便)
【小田原駅跡石碑】 |
国道を逸れ、落ち着いた町をゆく。と思ったら、結構車通りが激しいぞ・・・なんだなんだ?この通りは御厩小路と呼ばれており、熱海街道の起点でもある。
【小田原漁港】 |
漁港に入る前に多くの車が右折をしているのを見て、ハタと気づいた。「この車達は国道渋滞を回避して近道をしているのだ」と。漁港関係者はえらい迷惑だろうなぁ。
早川駅(軽便)
【早川駅跡】 |
【渋滞のメッカ・石橋IC】 |
I.Cを過ぎると道は右にカーブする。ここで、前方が開けて遠くまで見渡せるようになる。この辺りの海岸沿いは「東洋(日本)のリビエラ」と呼ばれ、イタリアのリビエラと似た景観を味わえるそうだが、あいにくイタリアのリビエラは知らない。
石橋駅(軽便)
【石橋駅跡】 |
登る途中、後ろがひらけたので振り返ってみると小田原の街が一望できる。また、丹沢・大山山塊や湘南方面へ海岸線も続いている。この先、景色の良いところはまだまだ続く。
【佐奈田霊社】 |
さらに登ると『佐奈田霊社』。ここは石橋山の戦いで討ち死にした佐奈田与一を祀っているところで、日本唯一の咳(せき)の祈願所とも書いてあるのでさっそく祈願。ちょうど風邪がなおりかけているのだが咳(せき)が止まらないので、早く良くなるように、そしてこれからもこの神社と縁があるようにお賽銭を45円(始終ご縁があるように)。ちなみに、咳(せき)と始終ご縁があっては困るぞー。
再び街道に復帰。鉄道が真横を走るところで振り返ると「ええやんええやーん!」と思わず口に出してしまうほど、そこには絶景が広がっていた。まるで、東海道の薩た峠からの景色のようだ。これこそ「東洋のリビエラ」の真骨頂だろう。フンフンと気持ちよく鼻歌を歌いつつ、道は右へカーブ。
米神駅(人車・軽便)
【米神駅跡】 |
ここから先は国道135号が歩く道となる。相変わらず下りだけ混んでいる。有料道路・真鶴道路との分岐点を過ぎて若干減るも、これまでの裏道とは一変した。歩道はなく、車通りは激増。品川、川崎、横浜、足立等々・・・・・・みな首都圏ナンバーだ。ビビりながらも登り坂をテクテク進みJR根府川駅へ到着。
根府川駅(人車・軽便)
【根府川駅跡】 |
駅を出ると、途端に道が狭くなり、根府川の集落内を進む。この途中に人車(軽便)鉄道の根府川駅跡。もちろん現在はそれに関するものは何も残っていない。この狭い集落をビュンビュンスピード出して走る車。住民は迷惑千万この上ない。地元に落とすのは排気ガスばかりなり。おそらく小田原市としても対策を練りたいだろうが、これは住民の協力のもと、道路拡幅しかないだろう・・・・・・が前途多難が容易に想像できる。
【ヒルトン小田原への入り口】 |
ヒルトン小田原に向かう道との分岐点にさしかかる。お・・結構車が行くぞー。一時期色々と話題に上っていたが、それもあってかヒルトンに経営委託をしてからも人の流れは続いているようだ。あの施設はかなり立派だもんなー。
江之浦駅(人車・軽便)
【江之浦駅跡】 |
小さな江浦集落の中にかつての江之浦駅跡。一端下り道になるも、まだまだ登り坂は続く。
長坂駅(軽便)
【長坂駅跡】 |
赤沢観音を右手に見つつ先を目指す。こんもりと木が生い茂っているところがかつての長坂駅跡。面影はみじんも感じられないところで、止まりもせず通過する。
大丁場駅(軽便)
【大丁場駅跡】 |
更新日:平成21年(2009)09月13日
公開日:平成16年(2004)04月07日
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