東海道を歩く(東海道五十三次) / 放浪日記

 #第6日目|箱根湯本−三島 平成13年(2001)4月8日(日)

放浪日記第六日目MAP|箱根湯本−三島

平成13年(2001)4月8日(日) 東海道第6日目:箱根湯本−三島 天気:晴

今日の出発地〜箱根湯本駅 ついにこの日がやってきた。今日は、東海道でも有数の難所である箱根越えをするのである。日が落ちるまでに越せるかどうか、やはり不安は隠しきれなかった。しかし、恐れているばかりでは先に進めない。それ相応の対策は練らなければならないと思い、かなり早起きして、前回旅を終えた箱根湯本駅に向かった。そして、湯本駅に到着。電車のドアが開くと、温泉地独特の硫黄の香りがした。
 改札を出た私は、勢いよく息を吸い込んだ。いよいよ出発の時が来た。時間にして7時19分、長い一日の始まりであった。


最初に出会った石畳です さっそく歩き出す。東海道を歩き始めた当初に比べ、万全の装備(靴、靴下だけだが)をしているためか、足に対しての不安は全くないと言ってよかった。サクサク歩いていると、さっそく小田原北条氏の菩提寺である『早雲寺』に到着した。ここで旅の安全を祈願し、境内を探索したのだが、かねてから見たいと思っていた『北条5代のお墓』が見つからなかった。見つからないのは仕方がない、と先に進むことにした。
 箱根湯本駅周辺部は、道路の両端に温泉宿が並んでおり、当時の街並みの様子を垣間見ることが出来る。
桜が綺麗に咲いていました。でも、歩道が無いので車が怖かった・・・ 途中で右への横道に入ると、かの有名な石畳が敷き詰められた道が続いていた(写真右)。昔の人もこうした石畳を歩いたと思うと、感慨もひとしおである。しかし、いつまでも浸っているわけにはいかない。今日は、今まで以上に歩かなければいけないのだ。そう思った私は、軽快な足どりで先を急いだ。
 石畳が終わると再び国道に合流。しばらくアスファルト化した国道を歩く。狭い道でも車がビュンビュン飛ばしており、すごく恐い。人が歩いているというのが見えないのだろうか・・・。しかし、歩かざるを得ないので、少し早足気味に歩く。
 途中、まだ桜が咲いているところもあり、気持ちがホッと安らぐ(写真左)。
 しばらく歩いた後、『鎖雲寺』というお寺で軽く休憩をし、この先の道を再確認する。しかし、今日は先がある。あまりゆっくりすることなく先を目指すことにした。

舗装道路を外れ、裏道を歩く。これぞ東海道の醍醐味!
 進むにつれて坂も急になってきた。途中、何人かの旅人ともすれ違った。ここまでの旅で歩いている人をほとんどみかけなかったので、さすが箱根は一味違うと密かに思った。別に密かでなくても良かったが・・(笑)
 途中から国道を外れ、歩行者専用の道を進む。何箇所かの石畳を過ぎ再び国道に合流した時、ようやく「畑宿」に到着した。ここは、寄木細工の有名なところであり、実演を見せる『畑宿寄木会館』をはじめとした寄木細工に関連した建物が点在しており、また、昔ながらの街道を思わせるような街並み景観を形成していた。寄木会館に立ち寄ろうかと思ったが、時間を考えてしまって、結局寄らずに素通りしてしまった・・。
 そして、再び国道を逸れ山道に入っていく手前に休憩所があったので、ここで軽く休んでいくことにした。
畑宿にて〜遠くに一里塚が見えます 休憩後、再び歩き始めた。ここからの道がさらに急になっており、東海道歩きというよりも山登りであった。まだ春も半ばなのに汗だくになってしまった。とうに上着は脱ぎ捨て、半袖Tシャツになり先を目指した。
 そうして歩くこと数十分、横断歩道で国道を横切り少し先に進むと見えてきたのが『甘酒茶屋』と『箱根旧街道資料館』。ここで、資料館を見学し、茶屋前で少し長めの休憩を取った。
 ここまでほとんど休みなしで来たので、さすがにハードだった。普段なら平坦な道なのでよいのだが、山道となるとそうはいかない。しかし、休んでいるうちにTシャツも乾いた(結局着替えなかった(笑))。国道沿いの桜。ちょうど良い時期でした♪
 充分休憩をとったのでさっそく出発・・と思い、茶屋と資料館を写真に収めようとカメラを取り出してみたら、なんと電池が切れているではないか!しかし、運良くお店のあるところで良かった・・と、さっそく茶屋で電池を購入。電池が売ってて良かった・・・両家を撮った私は、さらに先を目指した。
ここから再び旧街道を歩きます ここから再び山を登る。しかし、もう箱根が近いことを知っているため、自然早足気味になりがちだが、自らを抑えつつ慎重に歩き続けた。そして、山の上に到着したかと思うと、下りに入った。途中、『箱根馬子唄歌碑』を横目にさらに下る。この下りはかなり急だ。途中向こう側から登ってくる人と何人かすれ違ったが、ここは絶対に下るべき道だと思った。登りの方が絶対に辛い・・・そう思えるほどの急坂であった。


歩いてきた道を振り返るの図 そうして、徐々に目の前が開けてきた。遠くにチラッと芦ノ湖が見えた。
 「箱根はもうすぐそこだっ!」
 膝を痛めないように下り続け、ついに箱根に到着した。とりあえずこの先の道を再確認しようと思い、近くの公園に入った。時計をみてみると、まだ10時半・・・時間的にはまだ大丈夫だな・・そう思った私は、コースから逸れてしまうが、箱根神社に行こうと思い立ち、一旦コースを外れ神社を目指すことにした。
芦ノ湖近くの杉並木です 神社に向かう途中、何度も来たことがある駐車場をすり抜けた。今日は、休日であるためか、観光客であふれかえっていた。釣りをする人、ボートをこいでいる人、芦ノ湖畔でぼーっとする人・・・様々であった。
 そうして湖畔沿いを歩くと、『箱根神社』に到着した(写真下)。箱根神社では、式を挙げている人も居て、なんかわけもなく嬉しかったりした。お参りした後、再びコースに戻った。
箱根神社・・・かなりの人が訪れていました 国道沿いに戻った後、少し歩くと、世に名高い『杉並木』道の入り口が見えてきた。さっそく杉並木道を歩くことにした(写真館)。ちょうど時期的に花粉症の人はとても通れないだろうが、私は花粉症ではないため、のんびりと歩いた。思ったほど混んでおらず快適に歩くことが出来た。しかし、ここの杉はどれも立派なものばかりでこれまでの長い歴史を物語っていた。
 そうして杉並木を抜け、国道を横切って到着したのが『箱根関所跡』。ここは、運悪く工事中で昔の面影を伺い知ることが出来なかったが、次に来る頃には、再整備された関所跡が見られるだろうと思った。
芦ノ湖〜休日ということもあって、多くの人が遊びに来ていました ここはのんびりすることなく、先を目指すことにした。途中、『箱根宿』があった辺りを通過したが、面影はほとんど残っておらず、拍子抜けしてしまった。しかし、気落ちしている暇はなく、さらに先を目指した。
 道に迷いそうになったが、運良く曲がった道が箱根峠に向かう『向坂』に続いており、自分の運の良さを実感した瞬間であった。というか、人に聞けば早いのだが・・・(笑)
 再び上りが始まった。ここからの山道は結構急だった。しかも、東坂に比べてあまり人が通らないらしく、少し荒れ放題気味になっていた。しかし、なんとか歩き国道1号に合流した。とりあえず、お腹が空いて空いてしょうがなかったので、近くに道の駅があることを知り、そこへ向かった。大観山そばというのを食べたのだが(山菜そば)、後で知ったことだが、ここの道の駅のそば、特に大観山そばは有名らしかった(笑)。うん、結構美味しかった。つゆが美味しかった。
箱根西坂です。東坂に比べて人気(ひとけ)は無いですが快適な道です♪ お腹もふくれたので、水分補給をしてさらに先を目指すことにした。まだまだ今日は終わらない・・・。
 しかし、道の駅を出たのはよかったが、次に先に進むべき道が見あたらない・・・もしかしてこのまま国道沿いを歩くのか?・・・不安がよぎってウロウロと探してみたがやはり見つからない。意を決して国道沿いを歩くことにした。右側を歩いていたので、対向車はビュンビュンと私の真横を通り過ぎていく・・・人が歩いているんだぞ〜スピード落とせ〜。確かに、ここを歩行者が居るなんて思いもよらないだろうが・・・。しかし、そんなこんなで、なんとか乗り切り、ようやく歩道のあるところに至った。
山中城跡・・・家族連れの絶好の行楽地となっています そこから少し登ると見えてきたのは、県境の案内板・・・長かった神奈川県もついに終わりが近づいてきた。
 そうしてついに境界線、すなわち箱根峠を越え、東京都、神奈川県に続いて3都県目となる静岡県に突入した。静岡県は東海道中で宿場が一番多いところで、当分の間は静岡県を歩くことになるだろう。
 ここから三島まで16q・・本当に今日中に着けるのか・・少し心配になりながらも、まだまだ日は高いから大丈夫だと自分に言い聞かせ、一路三島を目指した。
 ゴルフ場入口のところで右に曲がり、テクテク歩くと見えてきたのが西坂の下り地点。ここからいよいよ長い下り坂の始まりである。少し早足気味になりながら道を下っていく(写真館)。途中、西坂の石畳です歩いている人を数人みかけたが、東坂ほどではないように見えた。しかし、この坂は下りやすかった。石畳もあったのだが、芝生のようなところも多くあり、天気が良いのも手伝って、またたく間に『山中城跡』に到着した(写真上)。
 『山中城跡』は、芝生で覆われたきれいな城跡であり、予想通りの城跡だったので、嬉しかった。家族連れがあちこちで芝生にビニールシートを敷いてのんびりと休んでいた。私もここらで休憩をとろうと思ったが、日差しがかなり強かったので、屋根のある東屋で休むことにした。ここで、この先の道の確認と水分補給をした後、さらに先を目指した。
桜と菜の花・・・きれいな色合いを見せていました 途中、お寺を見たり、石碑をみたりしながらどんどん下っていく。富士見平では、その名の通り富士山が綺麗にみえ・・・るはずが、何故か富士山だけ雲がかかっており、せっかく富士の雄大な姿を見ることが出来るはずだったのに・・と残念に思った。この旅が始まってから、実は一度も富士山の姿を見ていないのであった・・・一体いつになればその姿を見ることが出来るのだろうか・・・。
 そして、どんどん下り、ようやく石畳の道路が終わった頃、道も平坦な道になった。だんだん家が多くなり、道路も太くなってきており、三島の中心部も近いことが伺えた。もうすぐだ。
 最後の気力をふるうべく、コンビニに立ち寄り、水分補給をした。これで、今日は4本目だ・・・果たして飲み過ぎなのか、それだけ汗をかいているのか。しかし、これで再び元気になった私は、市の中心部を目指した。
 人の流れも徐々に多くなってくる。そんな私の目に飛び込んできたのは、写真で見慣れていた『三嶋大社』の鳥居だった。これは、広重の絵にも描かれている有名なものである。再び石畳です。が、やはり疲れがたまっているのか、思ったほどの懐古の気持ちが浮かび上がってこなかった。おそらく疲れもあったろうが、大社があまりにも人で賑わっていたことに圧倒されていたからだろう。それほど、大社は人であふれかえっていた。ちょうど桜の見れる最後の週末というのもあって、人・人・人・・であった。
 とりあえず、人の波をかき分け無事お参りした私は、あまり人混みにまぎれていることなく、先を目指した。そうして歩くこと十数分三嶋大社〜人で賑わっていました、ようやく私鉄の三島広小路駅に到着した。ここから電車に乗って三島駅に行こうと思ったのだが、かなり待たないと来ないとわかったので、三島駅まで歩いて帰ることにした。次の始まりは、この駅からである。
 長かった1日も無事終わってホッと一安心であった。自分の万歩計を見てみると、しめて約26q・・良く歩いたもんだと、この日は満足感で一杯であった。そして、次こそ富士山を見るのだ・・と心に近い、家路に向かったのであった。(つづく)
→第7日目 三島−富士


歩数計 43,378歩
カロリー 1,804.6kcal
距 離 26.03km
時 間 7:19〜16:00
支 出
(交通費)
交通費|4,080円
飲食費|1,777円
その他|950円(カメラ電池代)


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