#第7日目|竜王−日野春 平成15年(2003)10月5日(日) 天気:晴(暑い)


放浪日記第七日目MAP|竜王−日野春


■甲州街道第7日目〜プロローグ
 目覚ましの音で目覚めた。なんだか寝たような寝てないような感じで、寝ぼけ眼のまま支度を始めた。今日で甲州街道歩きも7日目。しかも、甲州街道歩きでは、初の1泊2日の行程の2日目である。贅沢だなぁ〜と思いつつも、朝早く自宅を出てくるのは億劫なので。「その分、この利点を活かして早々に歩き始めるぞ!」と思いつつ、結局ホテルを出たのは7:38。ちなみに、今回宿泊したホテルは、5年前に甲府に出張に来た際にも宿泊した所なのだ。ちょっと建物全体が傷み始めていたかなぁ。


■まずは、甲府城跡を見学
東横インホテルの上にうっすらと富士山が見えませんか?<舞鶴城跡より まずは、ホテルの裏手にある『甲府城跡』を見学。ここは、仕事でも私用でも何度か訪れているところだが、一応今回の甲州街道歩きにあたっても訪れることにした。
 以前訪れたのは5年前。その時に比べると、かなり石垣の復元整備が進んでいるように見えた。かつての天守閣があったところから南方を見てみると、連なる山並みの上にうっすらと富士山の姿が!まだ冠雪はしていないが、そのシルエットはいつ見ても美しい。富士は、何故こんなにも人を惹きつけるのだろう。美しいものを美しいと感じられるのはとても素敵で大事なこと。


■足の調子を確認しつつ、昨日の終着点・竜王駅へ
甲府駅前の信玄像 朝早くから元気をもらった私は、さっそく昨日の終着点・竜王駅に向かうべく、甲府駅を目指すことに。その前に、コンビニに立ち寄り、飲食料や絆創膏を購入。昨日は久しぶりの街道歩きで無理をしすぎたのか、両足ともかなり大きなマメができていた。今日はちゃんと歩けるかなぁ・・と、ちょっと不安。ついでに、甲府駅前の信玄像にも立ち寄る。これ見るの、何年ぶりかなぁ。

 さて。事前に時刻表を調べていたので、ちょうど良いタイミングで電車が到着。そして、あっという間に隣駅である竜王駅に到着。ここで、両足に絆創膏を貼り、万歩計をリセットしてスタート(8:15)。


■色々思い出してたら道は急坂に
赤坂と呼ばれる上り坂 まずは、いつもと同じように甲州街道に復帰するべくのんびりと足慣らし。「うん、なんとか大丈夫そうだ。」ほどなく国道の走る十字路に到着し、ここを右折。そして、右折してすぐのT字路(Y字路っぽい)を右折し、国道から外れることに。この道は、北西方向に向かって続いている。実は、事前に予習をしていた時に気づいたのだが、この北西に向かっている道、5年前の仕事の時に通っているのだ。もっとも、その時は車だった。あちこち出掛けていれば、こういうことは多々あるものだが、なんとも不思議な気持ちになる。霊体験(?)したのもこの辺りだ。話すと長くなるので略。
 国道に比べ、車通りが若干少ないこの通りは、やはり歩道がなく、常に注意して歩かねばならない。そして、道はいつしか上り坂に。しかもかなり急峻な坂だ。


■秋の光景に出会う
秋の花・コスモスと南アルプスの山々 エッチラオッチラ登りつつ、なにげに振り返ってみると、甲府盆地が一望。しかも、かなり霞んできているが富士山も見えるではないか!ここから眺める富士の景色は、確か新富嶽百景に選ばれているところだ。ちょっと電線が邪魔だが空気がもっと澄んでいれば、もっと素晴らしい景色に出会えるんだろうなぁ(しかも、逆光で撮影断念)。
 さらに登り、休日のため無人の竜王テクノパークの研究所群を右手に見つつ、ようやく傾斜が緩やかに。ふと左手を見ると、連なっている山々が見えた。南アルプスだ。南アルプス内の山では、日本で二番目に高い北岳(3,192m)しか登ったことがないが、とても素晴らしいところだ。南アルプスの山並みをコスモスと一緒に写真に収める


■間違えやすい分岐点
コンビニを過ぎてすぐの分岐点は左に ようやく登りきったところにコンビニを発見。まだ飲み物などは十分持っていたので特に立ち寄らなかったのであるが、この辺りにかつては『三軒茶屋』があったという。定めし、コンビニは現在の茶屋?
 このコンビニ前の信号を直進すると、すぐに道は二股に分かれるが、甲州街道は左である。この辺りから徐々に迷いやすい道になってくるので注意が必要だ。


■雰囲気の良い今井地区の街並み
今井地区の街並み 前方に南アルプスの山々を見つつ、道は徐々に下り坂に。道なりにクネクネと歩いていくと、T字路にぶつかる。このT字路の左側に『道標』がある。ここのT字路を右折。
 通りは、車が一台通れるくらいの道幅で、輿石氏宅』などをはじめとした歴史を感じさせる家が点在しており、歩いていてかなり気持ちよいところだ。この辺りは、今井地区と呼ばれている。


■道を間違えて、国道バイパスを歩くことに
中部横断自動車道とJR鉄道高架。奥には南アルプスが! さらに歩き続けると、車通りのある通りにぶつかる。ここを左折(直進とも言う)し、一部供用が開始されている中部横断自動車道やJR中央線の高架下をくぐる

 JRの鉄道高架下をくぐった後、すぐ右折するのが旧道のルートだが、私は何も考えずそのまま直進し、国道バイパス沿いを歩いてしまった。順当に考えればバイパスが旧街道なはずないのに、うっかり以外の何ものでもなかった。そして、しばらくそのミステイクに気づかないままバイパス沿いを歩いていた。<地図はマメに見ましょう
 しかし、このバイパス沿いから見る景色は結構良かった。高校野球で有名な日本航空学園から飛行機が飛び立っていたり、先ほどから見える南アルプスの山々に加え、右手前方には八ヶ岳の山並みも見えてきた。周辺に視界を遮るようなものがないため、360度視界良好と言っても過言ではないだろう。しかし、さすがバイパス。車の交通量は激しい。途中事故を起こした車があったり、朝っぱらから暴走族らしきバイクの集団が走っていたり、賑やかこの上ない。

間違えて歩いていた道路からの景色



■道間違いに気づき、ようやく旧道に復帰(韮崎宿手前)
釜無川の遠方に八ヶ岳が。そして川向こうには、本来歩くべき旧街道が・・・ 釜無川に架かる橋を渡った時、ようやく道を間違えたことに気づいた。本来ならば、橋のすぐ横を鉄道が走っているはずなのだが、かなり遠くの方に見える。「ん〜?・・・・(地図を確認する)あっ!間違えてバイパスを歩いてしまった!」
 そのため、まずはかつての甲州街道に復帰すべく、田畑内を抜けることに。無駄な遠回りをして、ようやく塩川橋手前で甲州街道に合流。合流地点で鉄道沿いの道へ進む。その時「パーン」という音が。「銃声?」と思いつつも、前方に見えたコンビニに吸い寄せられていく。コンビニで飲料をゲットし、再び歩き出す。
 キンコンカンコーン・・なんだなんだ?「選挙管理委員会より〜・・」どうやら、この日は韮崎市の市議会議員選挙のようだ。この先、あちこちの公民館で投票する人々の姿を目にすることになる。


■こぎれいな韮崎宿の街並み
韮崎宿の街並み さらに、鉄道沿いをテクテク歩くと、いつの間にか道路の両脇に店舗がちらほらと。どうやら現在の韮崎市の中心地、かつての『韮崎宿』近辺のようだ。電線地中化が実施されており、さらに街道沿いには花水木が植わっており、往時の面影は見られないが、ところどころにかつての遺構が残されており、歴史を忘れていない同市の様子が伺える。
 ここで甲州街道を逸れ、T字路を右折して韮崎駅へ向かうことに。実は、昨日竜王駅で入手したスタンプラリーに参加することにしたためだ。勝沼ぶどう郷駅〜韮崎駅の間の駅から3駅分スタンプを押し、あとは東京でクイズに答えるという面白いものだったので、試したくなったのだ。


■世の中悪い人間はいるものですな・・
韮崎駅に向かう途中の商店街。朝早いからかまだお店は開いていません 駅前商店街らしき所を歩き、鉄道高架下をくぐりグルッとすると韮崎駅に到着。ところが駅にはスタンプらしきものが置いていない。駅員に何度も尋ねて、結局灯台もと暗しの目の前にあったことはご愛敬。駅員曰く「また捕られたかと思っちゃったよ」なんて言われてしまった。以前に捕られたことがあったみたいで、悪いことをする人間がいるのだなぁ。そういえば、東海道を歩いていた時もJR東海のスタンプラリーに参加していたが、同じようにスタンプが盗まれたとかいう事件が多発していたみたいだし。


■韮崎宿を出て、再び街道歩き開始
国道と旧道との分岐点。ここは右に。 とりあえず、スタンプを押して満足満足。ついでに駅前のイトーヨーカドーでトイレを借用し(ありがとうございましたっ)、再び街道に復帰。
 しかし、本日は出発してから無休憩。そろそろ疲れてきたなぁ・・。と、左手に小林公園なるところを発見。ちょっと休んでいこうと公園内のベンチに腰を下ろすも、なんか公園を通過して、公園に隣接している建物に人々が訪れる。そういえば、今日は韮崎市議会議員選挙だ・・・ここは投票所になってるのか。・・どうも落ち着かないので、ここを諦めて別のところ探すことにした。
 途中「蔦木道との分岐点」を通過しつつ、再び国道20号に合流。1kmほど国道を歩き、ESSOのガソリンスタンドのところで二股に分かれるので、国道を逸れて右の細い道へ。Essoの奥にコンビニ(セブンイレブン)があったので、飲料補給。ここからしばらく裏道が続く。


■国道の裏道は落ち着いていて歩きよい・・が
裏道には、歴史を感じさせてくれる建物が点在しています 裏道は車の往来がほとんどないので快適だ。しかも、道沿いには小川が流れ、ところどころに歴史が感じられる建物を見かける。そして、右手には『七里岩』が見える。自然が作り上げたものすごい巨大な作品だ。まさに'人智を超えた'とはこのことだろう。
 しかし、さっきから銃声が止まない。韮崎宿に入る前に聞こえたのも空耳じゃなかったようだ。なんだろう〜と思っていたのだが、確かこの近くに県立の射撃場があったと思い出した。この辺に住んでいる人は、慣れっこになっているのかなぁ・・・。

秋の風景



■旧道が通行止めにっ!!
桐沢橋。前方には、南アルプスの山々がっ そうして裏道をテクテク歩くも、そろそろ国道を横切って川向こうに渡らなければならない。ところが、この裏道と国道との合流地点には信号がなさそうだったので、途中で見かけた信号まで引き返して渡ることに。信号を渡りそのまま釜無川に架かる桐沢橋を渡る。ここから旧街道は国道から大きく逸れた道を歩く。


■新府城跡
 橋を渡り対岸へ。振り返って見ると、目の前に小山がそびえ立っている。かつての『新府城跡』だ。また、周辺を見回してみると、山あり川ありと自然に恵まれた地域であることを、あらためて感じることができる。それらを写真におさめ、そして自分の目に焼き付け、先を目指すことに。
 まずは、橋を渡り終えたT字路で右折をするのだが、なんと途中の跨道橋が工事中で「車両通行止」ですとっ!?「車両」だから歩行者は大丈夫かも・・・なんて思ったが、万が一通行できないと精神的ショックが大きいので、結局迂回路に沿って遠回りすることに(H15.9.16〜H15.12.28)。

新府城跡



■旧道沿いではない原山神社で休憩
原山神社 なんで遠回りしなきゃいけないんだよ〜と思いつつ、ただ黙々と街道復帰するべく歩く歩く。しかし、それでも高台まで登ったためか途中景色の良いところなどがあり、いつもながらのお気楽な気持ちになってきた。「まぁしょうがないか」
 そうこう歩いていると、前方に杉の木に囲まれた神社(原山神社)を発見!そろそろ足が限界なので、ここで本日初の休憩をとることにした。ふぅ〜ホッと一息である。昨日のマメは相変わらずであるが、特にひどくはなっていないようだ。この先の道を地図で確認したり、飛んできたトンボを写真に収めたりしているうちに身体も十分休まったので、再び歩き始める。


■この辺りから旧道は入り組んで分かりづらくなる
小桐橋を渡ったところにある分岐点。ここは左折。そして、この先のちょっとした分岐点で再度左折が旧道(だと思われます) 神社を出てすぐに、本来の旧道と合流。小桐橋を渡ると分岐点。ここで左の細い道方向に曲がる。その次に現れた分岐点では、そのまま道のりに歩いたのだが、どうやらこれは間違いで左の道に入るのが旧街道のようだ。これに気づいたのは、旧道らしくない新しくできたと思われる道(主要地方道)にぶつかってしまったから。棚田の中の道を上がり、旧道に復帰。川が横を流れる人っ子一人通らない道をテクテク歩く。その後、旧道は主要地方道に合流。唐沢橋を渡り数百メートル歩き再び分岐点にぶつかるので、ここも左の道に。途中バス停があれば正しい選択だということがわかる。その道も1キロ弱続き再び主要地方道に合流。


■道が変わりつつある旧道
戸沢橋を渡ってすぐのところを左折。ここを曲がるとかつての旧道にぶつかります ここで、またもや悩みどころに遭遇。この先に川があるのだが、手持ちの資料を見てみると、旧道はちょっと上流に登ったところで川を越えているのだが、現在はそこに橋があるのか不明だ。やはり、現代の地図を持ってくれば良かったと、今更ながらに後悔。結局途中まで行きながらも引き返して、主要地方道に架かっている橋を渡ることにした。この橋は、平成14年7月に新しく架け替えられたばかりの戸沢橋で、橋から下を覗いてみると、かつて使われていた橋の遺構が今でも少し残っている。
 戸沢橋を渡ってすぐ左に曲がる道があるので、そこを左折。


■秋の風物詩・彼岸花に心和む
 ところがこの道が、山奥へ入っていきそうな登り道で、「ぎょー大丈夫かなぁ・・」とちょっと不安に。ところが、ちょっとクネっと曲がったとこに咲いていた彼岸花を見て、そして登り切ったところで細い道ながらも落ち着いた街並みが続いている景色を見て、心も落ち着いた。忙しない道を歩いてきたので、この'街道らしい'道がとても心地よい。
 人も車も通らない道をテクテクのんびり歩くと中央に道祖神があるT字路に。ここを左折し、引き続き細い道を歩く。数百メートル歩くと、またも悩みどころの二股に分かれる。現在の地図を持っていなかったため、手持ち資料だけを見てもよくわからない。えいやと右折することに。結果的にはこれが正解だったと思うのだが、この辺りの道はだいぶ変わってきているため、確信は持てない。

彼岸花



■落ち着いたたたずまいを見せる上円井地区
上円井地区の街並み。ホッと落ち着きます その後、小学校横の道を下りぶつかったところを左折し、そのまま道なりにテクテク西へ。桜の木が続く道を歩くと、久しぶりの国道20号にぶつかった。しかし、ここはそのまま国道を横切って再び裏道へ。150mほど歩くと十字路にぶつかるので、ここを左折。国道20号に沿った道で北上することになる。この上円井(かみつぶらい)地区は、松がところどころに見かけられる。右手には、韮崎以降続いている七里岩が見え、気持ちが良いのだ。しかし、ちょっと日差しが強く、なんか首の辺りがヒリヒリしてきたので、タオルを首にかける。
 周辺の風景を楽しみながら、ゆるやかな上り坂をテクテク登ると再び国道20号に合流。ここから20号沿いを歩く。そして、韮崎市と武川村との境に架かる小武川橋を渡ったところで国道を逸れて右折する。そのまま道なりに歩き、三度国道に合流。


■コンビニで飲料補給
武川村の農産物直売センター(通称村の駅) 300メートルほど歩くと二股に分かれるのでここを右折。ここには、武川村農産物直売センターとコンビニがあり、大勢の観光客で賑わっていた。ここで最後の飲料補給をして最後の踏ん張りを見せることに。
 ここから新富嶽百景の一つ・牧ノ原地区を歩く。しかし、振り返って富士山を見るのをすっかり忘れる。さすがに久しぶりの歩きだということ、10月なのに予想以上の暑さにちょっとバテ気味のようだ<バテてるのはいつもか?
 その後、県道612号に合流したところで、本日の甲州街道歩きは終了。ここで右折して、最寄り駅日野春駅を目指す。事前に地図帳を見ていた時はわからなかったのだが、これまで見てきた七里岩を越えなければならないのだ。ものすごい急坂をクネクネと。ぎょー・・。疲れた身体に疲労がさらに蓄積・・・。


■つづれ折れた道を登って、疲れ倍増のうちに放浪終了
2日間の放浪の終着点・日野春駅 ヒーヒー言いながら登っていると、後ろから走ってきた車が目の前に停車。「な、なんだ・・・」と怪しみながら車をよけてさらに先に進もうとすると、運転席からおばちゃんが「どこまで行くん〜?」と声をかけてきた。ふぅ〜物捕りじゃなくて良かったぁ〜・・と思いつつも、せっかくここまで歩いてきたので、丁重にお断りした。せっかくのご厚意にお答えできなかったが、人の情けに触れることができて、街道歩きをしていて良かったな〜と改めて思った。そして再び元気が湧いてきたので、頑張って登り続け、ようやく日野春駅に到着
 久しぶりの街道歩きで、ちょっと勘がにぶっている感も否めなかったが、充実した2日間を過ごすことができたことを感謝しつつ、運良くやってきた臨時列車に飛び乗ったのであった。(つづく)
→第8日目 日野春−すずらんの里


歩数計 35,768歩
カロリー 1,507.1kcal
距 離 21.46km
時 間 8:15〜14:40
支 出 交通費|1,670円
飲食費|1,155円
その他|312円(絆創膏)

2003.11.30update
2007.04.30renewal


トップページ甲州街道を歩く(甲州道中)放浪日記>第7日目|竜王−日野春