東海道を歩く(東海道五十三次) / 放浪日記 | |
#第13日目|磐田−高塚 平成13年(2001)9月22日(土)
平成13年(2001)9月22日(土) 東海道第13日目:磐田−高塚 天気:晴 |
---|
朝の東京駅、私は停車中の新幹線の中でおにぎりを食べていた。 今日から1泊2日の日程で、実に約4ヶ月ぶりの東海道放浪に行こうとしていたのであった。前日まで慌ただしく過ごしてきたのも理由にあったのかもしれないが、やはりしばらく歩いていなかったことから、無事何事もなく歩くことができるかどうか不安な気持ちも正直あった。しかし、ここまできたらなるようになれ・・と、持ち前の楽天さが本領発揮していた。 そんなことを思っているうちに新幹線は東京を離れ、一路静岡へ。途中、掛川駅で在来線に乗り換え、前回旅を終えた磐田駅に到着した私は、大きく息を吸い込みその第一歩を踏み出した。時間にして9時34分・・いつもより1時間ほど遅い旅立ちの時であった。 まずは、駅前にある大きな『大楠』の木を見た後、磐田駅を写真に収めた。ん?よく見ると、駅に横断幕が張られている・・「裸祭り9月22日23日」・・ん?22日と言えば今日ではないか・・・うーん、残念ながら見ることは出来なさそうだ。どうもタイミングが悪いものだ。 この時なぜだかさっぱりわからないが、無性に甘い物が食べたくなり(私にしては珍しい・・(笑))、駅前にあったミスタードーナツに立ち寄りドーナツを購入。そのままドーナツをほおばりながら旧東海道まで足を運んだ。そうして歩くこと数分、旧東海道に到着(写真上)。さあ、本格的な放浪の始まりである。 朝といっても、すでに10時前・・・町はすでに活動を始めていると言って良いはずだが、あまり人影が見られない。この辺の人は、お寝坊さんが多いようだ。もっとも、ウロウロされるのもこっちがとまどってしまうが(笑) 今年の9月は、特に残暑が厳しくなくて、すでに秋の気配が漂ってきており、この日も日差しが強いにもかかわらず、空気がひんやりしているためか、とても歩きやすい。まさに、絶好の放浪日和であると言えよう。しかしそれでも、歩いていると徐々に暑くなってきたので、着ていた上着を脱いで半袖Tシャツになり、歩くことにした。軽く汗ばんだ肌にひんやりした空気がかすめていく・・・とても気持ちいい。 この辺りは、特に見どころがないため、ひたすら先を目指して歩く。途中、一里塚などを見逃したりしてしまったが(ボーっと空を見上げていたせいである。それほど綺麗な青い空であった。)、それでも快適な歩行だ。最初に心配していたことはよけいなお世話だという感じであった。しかし、この時はまだ、徐々に迫りつつある恐怖のことに気づかないのであった。 そして、その恐怖の場所にたどり着いたのはそれから少ししてであった。そう、それは天竜川越えである。事前に色々と調べたりしていた。歩道がほとんどないとか、車の通行量はかなり多いとか・・・まさに看板に偽りはなかった。こういう看板には偽りがあっても良いのにと思うのに、そうした思いに反して、まったく偽りがなかった。 天竜川には、天竜川橋と新天竜川橋という2つの橋が架けられており、天竜川橋は、歩道はおろか、歩くスペースもないほど狭い橋であった(写真上)。もう一つの新天竜川橋は、歩くスペースが橋の端に少々あるのだが、車の通行量が多い。しかも、かなりのスピードを出している。迷ったあげく、少しでもスペースがある方が良いと思い、新天竜川橋の方を意を決して歩き始めた。 橋の下流側の端を歩き始めたのだが、恐い!はっきりって恐い!なんで車はスピードを落とさないのだ・・・人が歩いているのが見えないのだろうか・・・。しかも長い・・とてつもなく長く感じられる・・こんな時にこれほど時間は感じていたくない・・。しかし、無情にも橋はそんな気持ちとは裏腹に非常に長かった(写真館)。 そうして歩くこと数十分、橋を渡り終えた時の安堵感と言ったら、何物にも代え難かった。ホントに無事たどり着けて良かった・・・今回はオチも何もなく(ってオチをつけるつもりやったんか(笑))、橋を渡り終えた私は、早いとここの場から立ち去るべく、先を急ぐことにした。 その後、土手沿いの道を少し歩き、『六所神社』というところで休憩した。やはり、ずっと緊張し続けだったためか、開放されてホッとしたのだろう。どっと疲れが押し寄せてきた感じがした。足は全く問題がなかったが、精神的に疲れた感じであった。とりあえずここで、この先の道を確認することにした。 しばらく休憩した後、再び歩き始める。この先、しばらく国道沿いを歩くため、特に見どころがないところが続く。この国道沿いほど、歩いていて苦痛かつ面白くないところはないだろう。しかし、これが旧東海道なのだからしょうがないのだ。先人もこれから歩く人もここを乗り越えていくのである。 途中、とっても大きな浜松アリーナを過ぎた後、徐々に浜松の雰囲気を感じ始める。遠くに見えていた浜松のシンボルでもある「アクトシティ」がだいぶ近づいてきた。しかし、あのポツンとそびえ立ったビルを見ていると、アメリカで起きた事件が脳裏をよぎってしまう。あのビルよりも、もっと高くそびえ立ったビルに飛行機が突っ込んだのだ・・・いかんいかん・・・暗くなりそうになる自分の気持ちに叱咤しつつ、気持ちを入れ替えて先を目指す。 そうこう歩いているうちに、徐々に人がそして車が多くなり、浜松の中心地に来ていることが伺えた。ここは浜松・・・静岡県における西部の最大の都市である。そのため、とても活気にあふれている。昔も同じように栄えていたのだろう。資料によると、太平洋戦争で町のほとんどが焼けてしまったが、当時は東海道最大の宿場だったという。その名残はほとんど残っていないが、この活気がそれらを総括して物語っている気がする。 しかし、ここの街は歩行者にとってあまり優しくない気がした。交差点に出くわすと、地下の連絡道を利用しないと反対側に渡れないのだ。おそらく安全を期しての、市としての配慮なのだろうが、どうもうざったくてならない。しかし、道路上を歩くことは危険きわまりないので、仕方なく地下道を利用することにした。 そうこうしているうちに、中心地内にある『五社神社』を見学した後、近くの公園らしきところで休憩を兼ねて昼食を頂いた。昼食と言っても、相変わらずコンビニで買った物であるが・・・(笑)。私は、一人でお店に入るのがどうも苦手で、これまでもほとんどお店に入らずに買って済ませていた。しかし、それはそれで特にこだわりがなかったので、まぁいいかなぁと。 お腹もふくれたことだし、次は、浜松のメインの目的地でもあった『浜松城』を見に行くことにした。浜松城は、東海道筋から少しずれた所に位置しているのだが、城好きの私にとっては欠かすことのできない絶好の立ち寄りスポットであった。 ひとやま越えた後、市役所の横を通って再び上り坂にさしかかる。エッチラオッチラ登ること数分(←あっという間(笑))、天守閣が見えてきた(写真左)。思ったよりこじんまりしたお城というのが第一印象。写真で見るのと、実際に見るのとは違うことの方が多い。 さっそくお金を払って、中を見学することに。中はだいたいどこのお城と大差なかった。観光用に復元されたものだったので、特に感慨も湧いてこなかったが、天守閣から町を眺めていると、昔の人(特に大名とか)もこうやって町を眺めていたのかと思うと、やはり気持ちは遠い彼方へいってしまう。 お城は、自らを想像の世界に引き込んでくれる、とても貴重なものなのである。もちろん、それはお城だけではない。東海道筋に残っている昔ながらの街並みや家々、関所や本陣・脇本陣・遺跡なども、見ていて飽きが来ない。 そうこうして十分お城の醍醐味を堪能した後、受付のおばちゃんにお礼を言った私は、再び東海道に戻るべくお城を後にした。 旧東海道に戻った私は、さっそく一路西に向かって歩き始めた。実際には西ではなく南だったのだが・・・(笑)。ま、細かいことは置いておいて(って自分でふったのに(笑))、その後立て続けに『本陣跡』(立て札のみ現存)を見る。他の宿に比べて、かなりの本陣があり、宿の大きさをあらためて感じることができた。 ここで時計を見る。時間にして、午後2時過ぎ・・・旅を終えるにはまだ早い時間だ・・地図を再確認して、今日はJRの高塚駅を最終地にしようと思い、そこまで歩くことにした。この先は、特に大きな見どころがないが、小物が多いので、見逃さないようにしなければいけない。調子にのってポンポン歩いていると、見ようと思っていたところを見逃してしまう悪い癖があるのだ、この男は。しかし、見どころがあり過ぎるのも困るもので、全てみることが義務づけのような気がしてしまって、ろくに思いを馳せることができないことが多々ある。そう、これをわがままというのである。 テクテクと歩き続ける。忙しなく地図を見たり、カメラを出して写真を撮ったりしている様は、端から見るとさぞかし滑稽であっただろう。まぁ、誰もこんな男のことなど見向きもしないだろうが(笑)。 すでに日は傾き始めているのにもかかわらず、日差しは非常に強い。これが9月下旬の日差しなのか・・・。しかも、西に向かって歩いているため、遮るものは何もなく、直で太陽光線を浴びざるを得ないのだ。 さすがに、久しぶりの放浪ということもあっただろう。体力的にも黄色信号が点りはじめたため、途中の諏訪神社というところで休んでいくことにした。この神社、緑ですっかり覆われており、人気(ひとけ)もなく、とても居心地が良かったので、少し長居をしてしまった(写真上)。 そうしているうちに、ようやく体の疲れも取れてきたので、この日最後の歩きをすべく、立ち上がった私は、再び旧東海道に戻り、一路西に向かって歩き始めた。途中、石碑等を見つつ、高塚駅の近辺まで来たことを確認し、この日は一旦旧東海道を外れて一路駅を目指した。 そうして駅に到着(写真左)。時間にして16時半前・・・遅く歩き始めたことと、途中ずいぶんと寄り道をしてしまったことから時間をくってしまったが、久しぶりの放浪の割には、充実した一日であった。「さあ、また明日も歩くぞー!」と心の中で叫んだ私は、改札をくぐった。(つづく) |
→第14日目 高塚−二川 |
歩数計 | 29,565歩 |
カロリー | 1,229.9kcal |
距 離 | 17.74km |
時 間 | 9:34〜16:23 |
支 出 | 交通費|5,280円(新幹線は片道分) 飲食費|2,358円 その他|150円(施設見学料等) |
トップページ>東海道を歩く(東海道五十三次)>放浪日記>第13日目|磐田−高塚